正月早々から排水槽の満水警報が出たそうです。
中一日置いて2度も続いてです。
月末の理事会での管理会社の報告によると、
①初回の警報で現場に行くとポンプを据え付けてある釜場(床面よりへこんでいる穴、ポンプピットとも言う)から水かあふれた跡はあるものの、自然に復旧していました。
②翌々日に二回目の警報で現場に行くも同じ状態でした。ポンプの劣化で揚水能力が疑われます。
③ポンプが起動する時期を早めるため、フロートスイッチの位置を5センチ下げました。
④満水警報対応費として3万円プラス消費税2400円の支出を承認願います。
__管理会社の名前で提出した見積もり書には上記の内容が記載されています。
(理事会) ポンプの点検をしただけで、交換をしたのではないのですね。
(管理会社)そうです。
(理事会) 今回の措置で本当に復旧したのですか。また水があふれて警報が出る恐れがあるのではないですか?
(管理会社)ポンプの機能劣化が疑われるため再び警報が出る恐れがあります。
(理事会) そのたび今回と同じ対応費を支払うのですか?それならポンプを交換する必要があるのでは?
(管理会社)交換をご検討なら見積もりは次回理事会に提出します。
(理事会) 来月の理事会までに再度水があふれ出たらどうするのですか?
(管理会社)‥‥‥
地下の機械室や地下式機械式駐車場など、床にたまった水を下水管により自然流下で排水できない場所には、必ずポンプピットがあります。その中に汚水用の水中ポンプを設置し、強制的に排水するのです。
管理会社は排水ポンプの仕組みについての説明が欠落しているので、理事の皆さんにはわかりづらい報告となっています。
排水ポンプには電線でつながったポールのような浮き(フロート)がついているのです。床にたまった水が低い釜場に集まり、釜場の水位が上がるとフロートが浮いて逆さまになります。そうするとポンプのスイッチが自動的に入り、水位が下がります。水位が下がるとフロートが吊り下がった状態に戻り、ポンプは止まります。
飲み水用の清水ポンプと異なり、汚水用のポンプは劣化・損耗が激しく進行します。水と共に釜場に集まる砂、砂利、枯れ葉、ゴミなどがポンプに絡みつき、羽根車というモーターの回転で水を押し上げるプロペラのような肝心な部品をすり減らせるのです。特に水中に設置される小型の汚水ポンプは劣化すると漏電の心配もあります。
水中汚水ポンプが故障、劣化の場合はオーバーホール(分解組み立て)ではなく新品に交換が原則です。この種のポンプの寿命は短ければ5年程度です。
また、説明を受ける理事側にもこの状況を理解し、適切な判断を下す責任があるのです。管理会社の一件専門的に見える報告に煙にまかれないよう、とことん追求する姿勢が大切です。
マンションに係る建築や設備はきちんと理解すれば難しいものは無いのですから。
築10年以上のマンションで、小型の水中汚水ポンプが何度も警報を出し、水があふれた兆候があるにもかかわらず、危機意識もなく、取り換えの提案をしないことは管理会社の怠慢であり能力不足です。
3回目の警報が出て、機械室や機械式駐車場が水没したらどう責任を取るのでしょうか。
たぶん内情はこんなところではと推測します。
①一回目の警報で管理員が現地を見に行ったが何も異常はなかった。床に水があふれた跡は認められた。
②二回目の警報で再度管理員が現地を見にいったが一回目と同じ状況。管理員は管理会社に連絡をし、管理会社の下請け業者が現地を見に行く。
③業者はポンプの劣化だと判断し、フロートスイッチを下げる処置をする。抜本的な対応にはなっていないため、ポンプの取り換えを管理会社に具申する。
④業者はポンプの取り換えを注文してもらえるならば、現場を下見に行っただけなので出動費はいらないと考えていたが、取り換えの依頼が来ないので、出動費を管理会社に請求した。
⑤管理会社は下請け業者の請求に、自社の利益を載せて管理組合に出動費を請求した。
ネットで検索しても数万円のフロート付き汚水ポンプの点検に3万円余りの費用をかけ、警報が繰り返し出ても取り換えの提案をしない管理会社。
理事会とのコミュニケーションができていれば、業者を現場に見に行かせた直後に管理会社から理事長に相談して、
『理事長、応急措置では再発が心配です。緊急対応でポンプを当社に取り換えさせてください。10万円以下で収まりそうな支出です。次回の理事会で事態の経緯と費用請求も含めて事後報告とさせていただけませんでしょうか。』
なんて対応が出来れば管理会社の株も上がるというものです。