【元管理会社取締役つぶやき その16】理事会が熱くなり過ぎると管理会社も組合員もついてゆけない(その2)

 

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【ある「元」大手管理会社取締役のつぶやき】
 【元管理会社取締役つぶやき その16】理事会が熱くなり過ぎると管理会社も組合員もついてゆけない(その2)

東京都内、副都心に位置するマンションで、熱心な理事会が『管理会社のリプレイス(変更)』を議案に含めた総会を開催しました。
国内最大手クラスの管理会社から最安値であった地元の小さな管理会社に変更することになったそうです。

しかし、その最安値の管理会社の管理委託費の見積項目を見ると、管理会社のメイン業務である事務管理業務費(※)が驚くほど安いのです。

私には、前回記事に書いたような管理組合の現状を鑑み、この事務管理業務費では、管理組合の要求レベルを満たすに足る額にはとても思えなかったため、正直にその組合員の方に申し上げました。

管理会社にとっては、良く言えば熱心、率直に言えば手ごわい理事会です。
仕事の受注優先で赤字覚悟の安値で突っ込んで、これでは利益が上がらないからと言って、中間マージンやリベートが取れる修繕工事などの追加の仕事を管理会社へ簡単には任せてはもらえないでしょう。

そんな中で、住民モラルが決して高いとはいえず、荒れたマンションの管理業務をこなすには、トップクラスのフロント担当者と管理員を担当させないことには務まりません。

今後、管理会社と管理組合がうまく付き合ってゆけるのか心配です。
管理会社は後になってババをつかんでしまったと後悔し、今回管理を辞退した現在の管理会社同様に音を上げてしまうのではないでしょうか。

今回、見積もりを辞退した大手管理会社もいくつかあったとのことです。現在の管理会社に管理組合の状況をヒアリングしたのかもしれません。
マンション管理業界内では本マンションのことがある程度知れ渡っている可能性すらあります。

自身の部屋を賃貸に出しているその方を含め、外部居住の区分所有者は、役員になることもなく管理組合の運営を担わない、という理由で、マンションに居住する区分所有者より割高な管理費を設定されているそうです。そんなこともその方は不満に思っています。

不公平を是正するための管理費設定が、居住しない組合員の心に管理組合への不信感を生み、管理組合運営を冷ややかに見てしまっていることが伺えます。

「理事会役員は報酬をもらっているし、こっちは割高な管理費を払っているんだから、管理はうまくやってよ。」といった感情がわいているようです。

マンション住民のモラルやマナーを注意するのは確かに管理会社の仕事です。

しかしそれを孤立無援の状態で管理員にだけ押し付けて、改善が進まないからと言って仕事を全うできていないと叱責したところで問題は解決しないでしょう。

モラルやマナーの問題は、管理組合の役員、管理会社のフロント担当者、管理員が一致団結して、長い目で取り組まなければならないと思います。

この問題は、居住する組合員も、居住していない組合員も、そしてマンションを借り受けた住人も、みんなが同じ価値観を持たないことには改善されません。

理事会役員の抱く焦りや危機感、管理会社への不満、不心得者の入居者への不満に思いを致すものの、理事会だけが空回りしている様子が透けて見えて、本当に大変なマンションもあるものだと思いました。

 

理事会の活動も活性化の方向を間違えると浮き上がってしまいます。そうなるとかえって他の組合員の心が離れてしまいます。悪循環に陥らないよう、焦ることなく一歩一歩前に進めてください。

菅 理(すが さとし)

※事務管理業務費
出納・会計・長期修繕に関する支援、そしてフロント担当者による理事会や総会への出席を通じた支援を総称して事務管理業務といい、そのコストを指す。

 

マンション管理会社の役員という立場を離れてこの業界を眺めると、大企業の系列管理会社であっても決して管理組合にあからさまに語ることのできない、裏の一面を各社隠し持っていることがわかります。匿名だからこそ本音で、時にはきわどい発言も続けてゆき、マンション管理組合の運営がより実りあるものにできたらと思います。

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