- 【ある「元」大手管理会社取締役つぶやき その23】給水管を全交換したがる管理会社 -
給水管の延命方法にはいろいろな工法が開発されていますが、多くの管理会社の発想は、延命よりも全交換(更新)です。その方が売上をしっかり稼げると考えているのです。
なぜなら、管理会社の作成する給水管の劣化診断を行っているのが、そもそも配管の全面取り換え工事を行う設備業者だからです。
使えるだけ使ったら全交換。ここには予防保全という発想はありません。
日経コンストラクションという雑誌で予防保全を以下のように解説しています。
「劣化が進む前にこまめに補修するのが予防保全。一方、対症療法的に劣化箇所を補修するのが従来の事後保全。予防保全のほうが事後保全よりも構造物を長持ちさせて更新時期を先送りすることができ、大掛かりな補修も抑えられるのでコスト削減につながる。一般にはこのように考えられ、インフラの維持・補修は事後保全から予防保全へのシフトが進められています。」
管理会社は給水管の劣化診断報告で、「錆の発生は見られるが、5年程度は使用に耐えられる。」との所見であれば、5年後に全面取り換えを当然のように提案します。それって本当に管理組合の為にベストな提案でしょうか?
まだ使用に耐えられるうちに、配管の赤さびを還元して黒錆に変え、錆こぶでふさがった配管の閉塞率を改善する装置を導入してはどうでしょうか。
私の知る配管更生装置は配管の全面取り換え工事の費用と比べて10分の1程度のコストで設置可能です。最初は私も半信半疑でしたが、効果がなければ撤去して導入費用は返金しますとのセールストークを信じて試してみました。
その後多くのマンションで導入しましたが、クレームとなったマンションはありませんでした。管理会社自身が取扱い業者となり、積極的に管理組合におすすめし、一定の利益をもたらしてくれました。
管理組合がメーカーに直接発注することもできますが、エンドユーザー価格(定価)と管理会社の仕入れ価格は当然に異なりますから、どちらから買っても管理組合のコストは同じです。それなら管理会社に儲けてもらいましょう。
その前に管理会社には、なんでも壊れるまで使わせて、全面交換でガッポリ稼ぐ、事後保全のスタンスを改めて、予防保全に宗旨替えしてもらわないといけませんね。
浮いたお金は外壁や屋上防水といった将来の大規模修繕のために取っておきましょう。
今回のコラムで取り上げた内容については、日本システム企画株式会社の松下様(090-1350-0257)のご協力をいただきました。
菅 理(すが さとし)