マンションの宅配受け取り革命(その2)
実は、受け取りと配送の両面の問題を一気に解消する、夢のようなソリューションを開発し、導入準備をしているNPO団体があります。
これが現実となった場合のマンションを想像してみましょう。残念ながらまだ数百戸規模の大型マンションでしか導入できないソリューションですが、やがて面的に広がれば、地域のマンション全体で共有できるシステムに発展する可能性が期待されます。
これが現実となった場合のマンションを想像してみましょう。残念ながらまだ数百戸規模の大型マンションでしか導入できないソリューションですが、やがて面的に広がれば、地域のマンション全体で共有できるシステムに発展する可能性が期待されます。
以下その要旨を説明します。
マンション内物流による宅配受け取りシステム
①マンション内物流の構築
管理組合として、マンション内物流を構築することにより、個々の配送事業者による直接配送を原則禁止し、個々の配送事業者が住戸のある上階へ単独で立ち入らないシステムを採用します。
②マンション専用宅配受付窓口の設置
配送事業者による配送は管理室もしくはマンション近傍に設置する専用宅配受付窓口までとします。管理室に届く荷物の入居者への受け渡しは、宅配コンシェルジュが宅配ロッカーもしくは自宅住戸にお届けします。
管理組合はマンション内物流事業者を指定し、個々の宅配事業者は、その指定事業者に宅配ロッカーもしくは自宅住戸までの配送を有償で委託することとします。
③受け渡し用ロッカーの設置
マンション内物流の運営事業者は、マンション内に受け渡し用の安価なロッカーを配備し、不在時の荷物の受け渡しを確実に行うものとします。
一台当たり10数万円のコストとなる電子ロッカーに替えて、電池式通信機能を持つ、安価な(一台数万円)機械式ロッカーを設置します。荷物を収納したら、入居者に携帯メール、電子メールにて開錠番号をお知らせします。
マンションへの配送日時があらかじめわかっている場合、入居者は受け取り場所を自宅に指定するほか、配送希望日時の空きロッカーを検索し、指定した番号の空きロッカーで受け取ることも可能です。
④効率的なマンション内配送
マンション内物流の指定事業者の担当職員は身分証を携行し、管理業務受託者と同様に共用部分内への立ち入りが許されます。マンション居住者は、いつもの顔見知りの配送員から安心して荷物を受け取ります。すべての宅配事業者の荷物を一気にまとめて届けてもらえます。セキュリティーと配送効率が格段に向上するのです。
⑥宅配ロッカーの効率利用
複数の宅配事業者からの荷物が、同じ部屋宛てだった場合、宅配ロッカーに収納する際にすべて取りまとめて一つのロッカーに収納します。現状では、宅配事業者ごとに別々のロッカーを利用していますから、格段にロッカーの利用効率が向上し、ロッカー不足が解消します。
このシステムを稼働する専用ロッカーとマンション内配送のシステム開発(配送伝票の変換統合、荷物の追跡システムなど)はすでに完了していますので、いつでも実用可能です。
導入の肝は、マンション内や団地内への個別配送業者の立ち入りをやめて、マンションや団地内での配送システムを上記のように決定することです。ヤマト、佐川、JP、Amazonなどの大手宅配事業者が協力するよう管理組合が彼らに要請し、同意を取り付けることが必要になります。
大手宅配事業者各社はと言え、自社配送ですべての配送を賄うことはもはやできない情勢です。下請け運送業者にラストワンマイルの配送を有償で外注しているのです。その外注費よりも割安でマンション内物流事業者がこれを受託することは、再配送の手間とコストに悩む彼らにとっても朗報なのです。
管理組合内部の合意形成や、管理会社やコンシェルジュ派遣会社との業務調整も必要となりますが、挑戦するに足る改革だと思います。
地域ごとに、このような小商圏の配送網が完成し、受け渡しのための簡易な機械式ロッカーが普及すれば、マンションの宅配受け取り問題だけでなく、日本の宅配クライシスが解決できるのではないでしょうか。
「 今回のコラムで取り上げた内容については株式会社ウィルポート( 03-6205-7399) の城山取締役のご協力をいただきました。
物流業界誌で取り上げられたこちら記事もご参照ください。