管理会社は、様々なソフトウエアを用いて、その業務を行いますが、扱うデータはすべて管理組合の資産です。しかしながら管理会社が変更となり、従来の管理会社が業務を終了する際の引継ぎは、電子データではなく紙に打ち出された資料によって行われています。
引継ぎ書類の引き渡しは従来の管理会社が発注者である管理組合に対して行い、管理組合はその引継ぎ資料を新しい管理会社に交付することとなります。
交付された資料が電子データでない場合、新しい管理会社はこの膨大な紙の資料を読み解き、次に掲げるような大量のデータ入力作業が発生するのです。
これらの膨大なデータが、管理会社が変更となる都度廃棄され、新たに管理受託する管理会社が改めて入力する愚は何とかならないものかと思います。
修繕履歴データなどは過去にさかのぼって登録するなど大変な手間ですから、新管理会社が竣工時からさかのぼってデータ入力する等あり得ません。つまり管理組合の重要な情報が管理会社変更の度に喪失するのが悲しい現状なのです。
電子データは管理会社の管理ソフトが異なっていたとしても簡単にデータ変換できる形でやり取りすることは可能です。お互い様なのだから、これらデータのやり取りで協力し合えばいいようなものですが、管理を取ったり取られたりするライバル会社同士ではそうはいかないのでしょう。
本来は国土交通省やマンション管理業協会が音頭を取って、電子化すべきマンション管理データの
指針を示し、管理会社変更時のマンションの基本データのやり取りについての取り決めを行うことが当然と思いますが、残念ながらマンション管理業界には、そんな気配はないですね。
データ入力を繰り返す無駄な労力は管理委託料に上乗せされ、消費者が負担し続けています。そして、付随する修繕履歴等の重要なデータは失われてゆくのです。
私は、管理会社の見直しの際や管理委託契約更新の際に、管理会社に対して、
管理会社が変わるたびに全員から管理費等を引き落とすための口座引き落とし依頼書を新たに回収することも問題です。収納代行会社が同一であれば、管理組合と新・旧の会社が合意すれば提出済みの引き落し依頼書でそのまま管理費等の引き落としが可能なのです。