【元管理会社役員つぶやき その2】1億円の修繕積立金はジャンケンで負けた者の手中に?

元大手管理会社取締役_ブログ

【ある「元」大手管理会社取締役のつぶやき】
-1億円の修繕積立金はジャンケンで負けた者の手中に?-

マンション管理会社社員による管理組合資金(管理費や修繕積立金)の横領の多くは、管理会社が弁済を行うため、管理組合に実損が生じるケースはほとんどありません。

それでも、管理会社社員の横領は雇用主である管理会社の無過失責任として、マンション管理適正化法に基づいて管理会社そのものが指導・処分の対象となります。

一方、マンション管理組合の理事長が管理費や修繕積立金を横領した場合、使い込まれた金銭の多くは戻ってきません。

高額な横領の場合は逮捕され、刑事罰を受けるケースもありますが、金額が数十万~数百万円程度だと、警察も動いてくれないケースが多いようです。

マンションの完成・引渡しと共に、初めて区分所有者が一同に会する管理組合設立総会で理事長を選任しなくてはなりません。「理事長=管理組合預金の名義人」という大切な人選なのですが、重要性を認識している方は少ないようです。

たとえばマンション購入時に個々の購入者(=区分所有者)納める修繕積立基金を一戸平均30万円徴収する300戸のマンションでは、管理組合の口座がいきなり一億円近い預金残高となるのです。

昔の村社会では、相隣関係が緊密で、誰がどんな人物か、お互い見知っていたものです。その中から選ばれる村の世話役は、最近越してきた他所者が選ばれることなどありえません。
公職選挙であれば有権者に対する選挙公報や選挙活動を通じて、選挙戦で淘汰された人が当選となります。

ところが管理組合は元来組織力の脆弱な民主団体です。1億円の預金を託すべき理事長が、ジャンケンやクジ引きで決まる例は少なくありません。

それどころか、「ここは人生の先輩として、ひとつ私が皆様のお世話を買って出て‥‥」などと言って、はなから預金名義人になることを狙って理事長に立候補する「よからぬ者」が出ないとも限りません。

理事長となった者が管理組合の預金を引き出すことは、もうだれにも止められません。たとえ通帳と印鑑を他の役員が保管したとしても、銀行に「通帳と印鑑を紛失したが、預金を解約したい。」と理事長が申し出れば、当然に出金の手続きが可能です。

これはある意味、マンション管理適正化法が「マンション管理会社はどんなに信用力、財産的基礎があろうとも預金名義人たりえない」との立場に立ったことによる悲劇です。

この法律がマンション管理業者を規制する法律であって、管理組合を規制するものでないことの限界です。

昨今議論が盛んな「区分所有者以外の者を管理者(理事長)に選任する『管理者管理方式』(第三者管理方式)」は、行き過ぎた「管理組合主権=マンション管理業者性悪説」の揺り戻しとして、時代の要請により登場したと考えられます。

揺り戻しは中庸を通り越してややもすれば反対方向へ過大なものとなります。

原始規約(マンション販売時に定める当初の規約)を自由に設定する立場の、分譲マンションデベロッパーやその子会社である管理会社が、管理規約の中で管理者に自身を選任し、永続的な「管理者=管理会社」の体制を構築することが増えないかと危惧しています。

まぎれもなくマンションの主権は管理組合です。その主権者が、信用力や、財産的基礎を十分吟味し、自己責任により自らのマンションの管理(預金の管理を含む)を付託するに足る「管理者=管理会社」を選ぶことは、現行の法律(区分所有法)の枠内でも十分可能だと思います。

理事会を「管理者=管理会社」とは別に構成し、「理事は意思決定はすれども資産管理を含む職務遂行はせず、管理者は資産管理を含む職務遂行はすれども意思決定はせず」といった役割分担も可能だと思います。

これらの場合でも、随時総会の通常決議により、理事の互選により理事長(=管理者)を選任する方式に変更したり、現行とは別の「管理者=管理会社」に変更したりといった柔軟な対応が可能で、かつ、選任した管理者の業務執行内容を随時監視する仕組みを盛り込んだ工夫を凝らした管理規約を練り上げる必要がるでしょう。

菅 理(すが さとし)

マンション管理会社の役員という立場を離れてこの業界を眺めると、大企業の系列管理会社であっても決して管理組合にあからさまに語ることのできない、裏の一面を各社隠し持っていることがわかります。匿名だからこそ本音で、時にはきわどい発言も続けてゆき、マンション管理組合の運営がより実りあるものにできたらと思います。

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