マンションの管理会社を変えようとした理事長に他の理事が反発し、理事会で理事長を解任したところ、理事長が管理組合を訴えて上告審(最高裁)まで争っていたのです。
この日、最高裁は、管理規約について、「(理事長の)選任は原則理事会に委ねられており、理事会の過半数による解任も理事に委ねられている」との解釈を示しました。「解任は無効」とした二審判決を破棄し、理事会の手続きに問題がなかったかをさらに検討すべきだとして、審理を福岡高裁に差し戻したそうです。
裁判で争えば、真実が明らかになり、正義が必ず勝つなどと安易に期待してはいけないということですね。私たちの市民目線では、当たり前の事柄が、法律家(裁判官や弁護士)にとっての常識に照らすと、十分争いの余地がある事柄として、真逆の結論となってしまい、市民目線では到底承服できない判断が下されることがあると心得ましょう。
訴訟の結果、裁判長は滞納者の主張を認め、管理組合は損害賠償責金を滞納管理費と相殺して支払うこととなりました。
管理組合は一審の地裁の判決を受け入れることとしました。(素直に支払ってくれればと、留保していた管理費の遅延損害金に相当する損害賠償であったためこれと相殺することにしたのです。)
本件も最高裁まで争っていたら、どうなっていたでしょう。
理事長の選任手順が管理規約に明記されているにもかかわらず、解任の手順が明記されていないことを重く見て、地裁の裁判官も高裁の裁判官も、「選任と同じ手順で解任まで決定するには無理がある」と(法律家の)ロジックで判断したのでしょうね。
(その2へつづく)

マンション管理会社の役員という立場を離れてこの業界を眺めると、大企業の系列管理会社であっても決して管理組合にあからさまに語ることのできない、裏の一面を各社隠し持っていることがわかります。匿名だからこそ本音で、時にはきわどい発言も続けてゆき、マンション管理組合の運営がより実りあるものにできたらと思います。
最後から3行目の専任は選任です。
ご指摘ありがとうございます!修正いたします!今後もよろしくお願いいたします。